「縦型密閉発酵槽による下水汚泥の肥料化技術に関する実証事業」 令和5年度国土交通省B-DASHプロジェクトの採択について
2023年4月14日
UBE三菱セメント株式会社
UBE三菱セメント株式会社(本社:東京都千代田区、社長:小山誠)、株式会社クボタ、中部エコテック株式会社、島根県、日本下水道事業団からなる共同研究体※1は、国土交通省が実施する下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェクト※2)において、「縦型密閉発酵槽による下水汚泥の肥料化技術実証事業」を提案し、令和5年度下水道革新的技術実証事業として採択されました。
世界的な肥料価格やエネルギー価格の高騰に伴い、下水汚泥の肥料化やエネルギー化に資する有効利用技術のさらなる普及が望まれています。しかし、中小規模の下水処理場においては、事業運営の経済性や安定性に関わる課題により、汚泥有効利用設備の導入が進んでいません。本提案事業では、縦型密閉発酵槽を下水汚泥の好気性発酵に適用し、低コストの発酵乾燥技術を実証します。また、製造する発酵乾燥汚泥は、肥料およびエネルギーとして利用できることを実証します。これらにより、地域、季節、社会情勢などの事業環境変化に柔軟に対応できる、中小下水処理場にとって導入しやすい下水汚泥の有効利用技術を実現し、資源安全保障や資源循環型社会の実現とGHG排出量削減に貢献してまいります。
従来の下水汚泥コンポスト化施設で採用されている堆肥舎方式の代わりに、畜糞堆肥化分野で多くの実績がある縦型密閉発酵槽を使用します。縦型密閉発酵槽は、断熱密閉槽内で発酵と乾燥を行うため、熱効率が高く臭気対策が容易な発酵乾燥方式です。本提案技術では、縦型密閉発酵槽に下水汚泥用に開発した副原料配合と発酵制御技術※3を組み合わせて高速安定発酵を実現します。生成する発酵乾燥汚泥は、土壌改良効果を有し肥料として利用しやすいだけでなく、セメント工場他で熱エネルギー源として利用できます。
- ※1研究代表者:株式会社クボタ
- ※2B-DASHプロジェクト:国土交通省において、新技術の研究開発および実用化を加速することにより、下水道事業における低炭素・循環型社会の構築やライフサイクルコスト縮減、浸水対策、老朽化対策等を実現し、併せて、本邦企業による水ビジネスの海外展開を支援するため、平成23年度より下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェクト:Breakthrough by Dynamic Approach in Sewage High Technology Project)を実施されています。
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- ※3UBE三菱セメント株式会社と中部エコテック株式会社による共同開発技術 (吉岡英明.下水汚泥の発酵熱を利用した下水汚泥発酵乾燥技術について.再生と利用(日本下水道協会).2022,vol.46, no.171, P39-44)