セメント製造における商業規模でのアンモニア燃焼実証試験を開始 ~世界初、セメント製造の脱炭素化に向けたカーボンフリーエネルギー活用~
2025年2月28日
UBE三菱セメント株式会社(本社:東京都千代田区、社長:小山 誠、以下「当社」)は、宇部セメント工場(山口県宇部市)のセメントキルン(焼成炉)*¹および仮焼炉*²において、カーボンフリーエネルギーであるアンモニアを熱エネルギー源として使用する商業規模での実証試験を2025年1月に開始いたしました。
当社は2023年に宇部セメント工場でアンモニアの実機混焼試験に着手しました[1]。その後、山口県の令和5年度カーボンニュートラルコンビナート構築促進補助金に採択され[2]、アンモニアを当社に供給するUBE株式会社と共同で宇部セメント⼯場のセメントキルンと仮焼炉においてアンモニアを混焼する試験設備の設置⼯事を進めてきましたが、このたび同工事が完了し、世界初となるセメント製造の実機設備を用いた商業規模での実証試験を開始いたしました。現在までに、セメントキルンにて石炭の熱量比30%をアンモニアで代替する目途を得ており、仮焼炉については、同じく30%代替を目指して2025年度内に試験を完了させる予定です。
アンモニア混焼時のセメントキルンバーナーの火炎の様子
セメント製造プロセスの脱炭素化には、セメントキルンと仮焼炉で使用している石炭等の化石由来の熱エネルギーを、カーボンフリーエネルギーへ転換することがカーボンニュートラル実現の有力な手法の一つとされています。アンモニアは燃焼時にCO₂を排出しない次世代エネルギー源として世界的に注目されていますが、アンモニアをセメント焼成用熱エネルギーとして使用したことは世界初となります。これまで当社は将来のアンモニア利用を見据え、小型燃焼炉を使用したアンモニア燃焼実験や熱流体解析ソフトウェアを用いたアンモニア燃焼の最適化検討等の研究・開発を行ってきており、今回の実証試験には、これらの知見が大きく貢献しました。今後はセメントキルンおよび仮焼炉にて、熱エネルギー源として廃プラスチック等の廃棄物も併用した商業運転ベースでのアンモニア燃焼試験にも取り組み、アンモニア利用における運転ノウハウを蓄積していく予定です。
当社は、地球温暖化対策をグループの最重要課題の一つと位置づけております。今回の実証試験をはじめ、カーボンニュートラル実現のための新規技術に挑戦し、業界トップランナーとなるべく引き続き取り組んでまいります。

参考
- [1] 2023年4月5日 世界初、セメント製造プロセスでのアンモニア混焼実機試験に着手
- [2] 2023年9月1日 「セメント製造プロセスにおけるアンモニア燃焼技術実証事業」山口県令和5年度カーボンニュートラルコンビナート構築促進補助金の採択について
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注)
*¹ 石炭や廃棄物等を熱エネルギー源として、石灰石や粘土等の調合原料を1450℃の高温で焼成し、セメントの中間製品であるクリンカを製造する焼成炉 - *² セメントキルンでの焼成の前工程として、石炭や廃棄物等を熱エネルギー源として調合原料を900℃程度に加熱し、原料中の石灰石の脱炭酸反応を進行させる炉